Kommentar 2018 Nr. 5

 

 

 


Ludwig van Beethoven


und


seine Zeit

 

 


Antonio Salieri

 


Teil 9

 

 

 

 

 

 

 


»Antonio Salieri Teil 8«
[Archiv / Kommentar 2018 Nr. 4]
より続く

 


Wolfgang Amadeus Mozart や
Ludwig van Beethoven が
Wien で活動していた時代の
作曲家で
Wien の宮廷楽長
Antonio Salieri
について

 

 皇帝 Joseph II. (1741-1790) によって Wien の Italia 語 Oper 劇場に所属する帝室詩人として採用された、Lorenzo Da Ponte (1749-1838) との初めての共同作業による、同劇場の楽長であった Antonio Salieri (1750-1825) の 3 幕の Dramma giocoso „Il ricco d’un giorno” (一日成金) が大きな失敗を喫した後、次に Salieri が取り組んだ作品は、2 幕の Dramma giocoso „La grotta di Trofonio” (Trofonius の洞窟) であった。

 この作品の台本作者として Salieri は、前作の台本作者の Lorenzo Da Ponte との、1782 年以来空席となっていた Wien の宮廷詩人の地位を巡る確執が始まっており、また彼の台本作家としての début 作であった „Il ricco d’un giorno” が大失敗に終わったのは、その人物の権謀術数に拠ると Da Ponte が考えていた、Italia 人の詩人で台本作家の Giovanni Battista Casti (1724-1803) を選んだ。

 この „Il ricco d’un giorno” の初演は 1785 年 6 月に、Wien の南方凡そ 20 km 程の所にある皇帝の夏の離宮の一つ、Laxenburg 宮の帝室宮廷劇場に於いて行われる事が予定されていたが、Salieri がその作品中の Ofelia の役を歌う事を想定して作曲を進めていた、Italia – England 系の Soprano 歌手 Nancy Storace (1765-1817) が、その直前の同年 6 月 1 日に行われた、Nancy の兄で作曲活動を始めていた Stephen Storace (1762-1796) による初作品、Opera buffa „Gli Sposi malcontenti” (不満な新郎新婦) の初演に於いて突然声を失うという事があり、それ以降全く歌う事が出来なくなってしまったために、Salieri によるこの作品の初演は延期される事となった。

 その後その年の 9 月 19 日になって、Giovanni Paisiello (1740-1816) による Oper (Dramma eroicomico) „Il Re Teodoro in Venezia” (Venezia の王 Teodoro) の公演に於いて、Nancy Storace は漸く舞台に復帰する事が出来た。
延期されていた Salieri の新作の Dramma giocoso „La grotta di Trofonio” の初演は、Nancy Storace が当初の予定通り Ofelia の役を歌い、同年 10 月 12 日に Wien の Burgtheater (宮廷劇場の一つ) に於いて行われた。

 Salieri との共同作業は初仕事となる Giovanni Battista Casti による、洞窟に住む魔法使い Trofonio が、或る一組の Couple に呪いをかけるという物語に対して Salieri が作曲した音楽は、例えば十分にその効果が考慮された、弦楽器を伴わない木管楽器のみによる伴奏、超感覚的なものの描写の為の Tritonus に調律された Timpani の使用等を始めとする新しく珍しい Orchester の扱い方、また洞窟の中の精霊の合唱の為の舞台裏での男声合唱の使用等、発想が新しく大変個性的且つ繊細なもので、豊かな音色の幅を駆使して、音楽による様々な性格を描写する事に大変成功している。

 この作品の初演は、前作の „Il ricco d’un giorno” の時とは全く逆に、前例の無い程の大成功を収め、間も無く大きな人気を獲得する様になる。
Salieri 自身がこの作品とその初演に関して、以下の様な言葉を残している。

 


[・・・]
[この作品の] 詩 [台本] がそれを要求している様に
大変風変わりな様式に基づくこの音楽は
注目に値する程の拍手喝采を得たが
総譜の形で出版されるべき
最初の Opera buffa となった
[・・・]

 


 正にこの Salieri の言葉通り、„La grotta di Trofonio” の総譜は、Wien の出版社、Artaria & Comp. より異例な速さで、既にその初演の年の内に出版されている。
またこの作品はその後各国語に翻訳されて、Europe 中の凡そ 30 の劇場に於いて上演されており、また同時に Klavier による伴奏や弦楽四重奏、管楽合奏の為等の数多くの編曲版も出版され、更に作品中のそれぞれの Arie に基づく様々な変奏曲も作曲されるという様な、大変大きな人気を Europe の各地で博した。

 

 

 

 

 


„La grotta di Trofonio”
初版総譜
楽譜部分の第 1 頁

 

 

 

 

 


Antonio Salieri
による
記録の原文は省略
日本語訳及び [ ] 内の補注は執筆者による

 

 


この先は次回
»Antonio Salieri Teil 10«
[Archiv / Kommentar 2018 Nr. 6]
へ続く

 

 

 

 


最上部の写真:


„La grotta di Trofonio”


初版総譜の表紙

1785年

 

 

 

 

 

 

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