Kommentar 2019 Nr. 7

 

 

 


Ludwig van Beethoven


und


seine Zeit

 

 


Antonio Salieri

 


Teil 19

 

 

 

 

 

 

 


»Antonio Salieri Teil 18«
[Archiv / Kommentar 2019 Nr. 6]
より続く

 


Wolfgang Amadeus Mozart や
Ludwig van Beethoven が
Wien で活動していた時代の
作曲家で
Wien の宮廷楽長
Antonio Salieri
について

 

 皇帝 Joseph II. (1741-1790) の委嘱によって、Lorenzo Da Ponte (1749-1838) の台本と Antonio Salieri (1750-1825) の作曲によって完成された、5 幕の dramma tragicomico „Axur, re d’Ormus” (Ormus の王 Axur) の初演が、Joseph II. の甥で後に Franz II. として皇帝位を受け継ぐ事になる Austria 大公 Franz Joseph Karl (1768-1835) と、Elisabeth von Württemberg (1767–1790) との結婚の祝祭行事の一つとして、1788 年1 月 8 日に、Wien の Burgtheater に於いて行われた。

 男の子供に恵まれなかった Joseph II. は、彼より 6 歳年下の弟の Toscana 大公 Peter Leopold (1747-1792) と、それに次いで Peter Leopold の長男の Franz Joseph Karl 大公を選んで、自身の将来の後継者として定めた。またそれと凡そ同時期に Joseph II. は、Franz Joseph Karl の配偶者探しも始め、Elisabeth von Württemberg をその妃として選び、未だ彼女が 15 歳であった 1782 年に、将来皇帝妃となる事を見据えた教育を施す為に、彼女を親許から離して Wien に呼び寄せている。

 Joseph II. は Elisabeth を我が子の様に愛情を注いで大変可愛がり、Franz Joseph Karl との結婚以降は好んで自身の傍に居させたという。
結婚の翌 1789 年に Elisabeth は妊娠するが、この頃 Joseph II. は結核を病んでいて体は日増しに弱って行く状態で、それが心理的に強く影響して Elisabeth の妊娠は大変不安定な状態であった。

 翌 1790 年 2 月 15 日に Joseph II. は終油の秘蹟を受ける。それ迄は Elisabeth の不安定な妊娠の健康状態が理由で、彼女が Joseph II. を訪れる事は許されていなかったが、この時に漸く久し振りに面会出来る事となった。
Joseph II. は自身のすっかり青ざめた顔色が Elisabeth を驚かせない様にと、彼女が訪れて来る際には寝室の照明を薄暗くさせていたが、それでも尚死に瀕した Joseph II. の姿はElisabethに深い衝撃を与え、彼女はその場で失神してしまう。

 その 2 日後に Elisabeth は娘の Louise Elisabeth (1790–1791) を予定よりも早く出産する。24 時間以上続いたこの時の出産が原因となって、Elisabeth はその翌日の 2 月 18 日に 22 歳の若さで亡くなってしまう。
この時生まれた Elisabeth の娘の Austria 大公女 Louise Elisabeth も、その後長くは生きる事が出来ず、翌年の 6 月 24 日には亡くなる。
また Elisabeth が亡くなった 2 日後の 2 月 20 日には、皇帝 Joseph II. が亡くなっている。

 事前に Joseph II. が慎重に采配して決めておいた通り、皇帝位は先ずその弟の Toscana 大公 Peter Leopold が継ぐ運びとなり、Leopold II. としての神聖 Roma 帝国皇帝への戴冠式が 1790 年 10 月 9 日に、Frankfurt am Main に於いて行われる事となった。
この機会に Frankfurt の国民劇場に於いて行われる戴冠の祝祭行事の一つとして、Salieri と Da Ponte による上記の „Axur, re d’Ormus” が上演される事となり、その準備の為に Salieri は同年 9 月中に Frankfurt am Main へ向けて Wien を出発している。

 これに先立つ同年 8 月 14 日には同地に於いて、„Axur, re d’Ormus” の最初の独語版となる、Dr. Schmieder による 4 幕の Oper „Axur, König von Ormus” が初演を迎えている。
この独語版の制作に当たって Salieri がそれに関与している可能性を考える事は出来るものの、どの程度迄直接これに関わったのかという点に関しては明らかになっていない。

 

 


この先は次回
»Antonio Salieri Teil 20«
[Archiv / Kommentar 2019 Nr. 8]
へ続く

 

 


上部の写真:


Leopold II. の
神聖 Roma 帝国皇帝への戴冠式


Frankfurt am Main

1790 年 10 月 9 日

 

 

 

 

 

 

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