Musik 2014 Nr. 4

 

 

 


Ludwig van Beethoven

 

 


Klavierkonzerte

 


Teil 13

 

 

 

 

 

 

 


»Klavierkonzerte Teil 12«
[Archiv / Musik 2014 Nr. 3]
より続く

 


Beethoven による
5 曲の Klavierkonzerete の
作曲の経緯
について

 

 Ludwig van Beethoven (1770-1827) による B-dur の Klavierkonzert は、1794 年に総譜化に着手され翌 1795 年に完成されて、恐らくその年の Beetoven にとって Wien に於ける初めての公開演奏会の場で演奏されたと推定されているが、その後 1798 年の Praha に於ける同作品の Beethoven 自身による演奏の折に改作された。

 この時に改訂された版が現在 Konzert für Klavier und Orchester in B-dur (Nr. 2, op. 19) の最終稿として一般に知られているもので、 Carl Nicklas Edlem von Nickelsberg に献呈され、1801 年の年末に Leipzig に於いて、Hoffmeister & Kühnel, Bureau de Musique によって出版された。

 1798 年に行われたこの改訂作業の後、再び Beethoven はその第 1 楽章の総譜に不満足な箇所を発見し、目立つ灰色のインクで総譜に修正を書き加えた。
しかしこの作品を出版する事になっていた Hoffmeister とのその後の手紙によるやり取りの中で、Beethoven は今回の修正の内容を伝える事をせず、当初の出版交渉の時から伝えていた事を再度繰り返して、この曲は自分の最良の作品ではないからと、その価格を半額に下げて提供すると伝えている。
従って現在 Konzert für Klavier und Orchester Nr. 2 in B-dur, op. 19 として出版され、一般的に演奏されているものは、Beethoven によって書かれたこの作品の最終稿ではなく、同時に最良の版でもないと言う事になる。

 その後 1802 年初頭に Beethoven は、1800 年に続いて Wien に於ける 2 回目の慈善演奏会を主宰するつもりでその準備を進めていたが、その年には宮廷劇場を借りる事が出来ず実現しなかった。
一方 Ludwig van Beethoven の弟の Kaspar Anton Karl van Beethoven (1774-1815) は、Ludwig を追い掛けて 1794 年に Bonn から Wien に移り住み、この頃は Ludwig の秘書役として兄を助けていた。

 1802 年にこの Kaspar Anton Karl が Leipzig の出版社 Breitkopf & Härtel に宛てた手紙の中で、Ludwig による 3 作目の Klavierkonzert となる c-moll の作品に関して言及し、その楽譜出版への提供を申し出ている。
この作品は翌 1803 年 4 月 5 日に、Wien の Theater an der Wien (An der Wien 劇場) に於いて開催された、Beethoven の主宰による慈善演奏会に於いて初演された。

 Austria の作曲家で指揮者の Ignaz von Seyfried (1776-1841) は、この演奏会に於ける c-moll の Klavierkonzert の演奏に関して以下の様な逸話を残している。

 

 「Klavierkonzert の演奏で彼 [Beethoven] は私に、彼の為に楽譜をめくってくれるように頼んだ。しかしそれは正に言うは易く行うは難しであった。
殆ど何も書かれていない楽譜を私は見るばかりで、多く見ても所々の頁に私には全く理解する事の出来ない、彼による Egypt の Hieroglyph が走り書きされているのを見付けるばかりであった。しかしそれは彼にとっては手掛かりとして役立ち、それを基に彼は殆ど全ての独奏声部を暗譜で演奏した。
何故なら彼の場合しばしばそうであった様に、全ての音符を紙に書く時間が最早無かったためであった。
いつも彼がそういう何も書かれていない頁の終わりに近付くと、こっそりと私に目くばせで合図をした。
そして譜めくりの丁度良い瞬間を逃すのではないかと言う、私の全く隠す事が出来なかった不安を、彼は正に楽しんだのだった。
そして演奏会の後で我々が着いた心地良い夕食の席で、彼はそれについて心から笑った。」

 

 


Ignaz von Seyfried
による
演奏会に関する記録の原文は省略
日本語訳及び [ ] 内の補注は執筆者による

 

 


この先は次回
»Klavierkonzerte Teil 14«
[Archiv / Musik 2014 Nr. 5]
へ続く

 

 


上部の写真:


Leipzig の出版社
Hoffmeister & Kühnel, Bureau de Musique
より出版された
Konzert für Pianoforte und Orchester in B-dur
op. 19 の
初版譜の表紙

 

 

 

 

 

 

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