Kommentar
Ludwig van Beethoven
und
seine Zeit
Antonio Salieri
Teil 49
»Antonio Salieri Teil 48«
[Archiv / Kommentar 2023 Nr. 4]
より続く
Wolfgang Amadeus Mozart や
Ludwig van Beethoven が
Wien で活動していた時代の
作曲家で
Wien の宮廷楽長
Antonio Salieri
について
1812 年に創設された Wien 楽友協会がその活動の主目的と定めた、「音楽のあらゆる分野に於ける向上」 の為の最初の課題であった演奏会の主催は、1815 年 12 月 3 日に王宮内の Redoutensaal 小 Hall に於いて行われた、第 1 回定期演奏会より開始されたが、当初は音楽愛好家である会員がその他の会員の為に演奏し、演奏会が会員の中だけで完結するという事をその主旨としていた。
しかしこの演奏会が実際に始められると、会員以外の人々からの関心が急速に高まり、早くも第 3 回目の定期演奏会からはその会場を、Redoutensaal 大 Hall に変更せざるを得なくなる。
この初期の頃の定期演奏会では特に、Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)、Luigi Cherubini (1760-1842) と Ludwig van Beethoven (1770-1827) の作品を中心として、演奏曲目の編成が行われていた。
その後 1818 年からは、大編成の合唱と Orchester によって演奏が行われていた定期演奏会に加えて、「音楽的夕べの楽しみ」 と題された室内器楽、Lied や多声の声楽曲等から成る、Salon 様式に拠って演奏曲目を編成する演奏会が始められる。その演奏曲目の中では特に、Franz Schubert (1797-1828) による Lied と声楽 Ensemble 曲が好んで取り上げられている。
この演奏会は最初 Singerstraße の „Zum roten Apfel” に於いて開催され、翌 1819 年からは Rotenturmstraße に位置する Müllerschen Kunstsaal へ、更にその翌 1820 年からは Bauernmarkt の Gundelhof に会場を移して行われている。
1822 年から楽友協会はその所在地として、Tuchlauben の „Zum roten Igel” を Kolowrat-Krakowsky 伯爵 František Xaver (1783-1855) から賃借してここに移り、室内楽の演奏会はこれ以降 „Zum roten Igel” を会場として開催されたが、1836 年以降この室内楽演奏会の回数は急速に減少して行き、1941 年を最後に開催が打ち切られる事になる。
楽友協会は 1822年以降賃借して来た „Zum roten Igel” を、1829 年に Kolowrat-Krakowsky 伯爵から買い取ると、それ迄の建物を解体して新たに、Brno 出身の建築家 Franz Xaver Lössl (1801-1885) の設計に基づき、Wien の建築技師 Carl Högl (1789-1865) によって、3 階建ての新しい建物が建造される事になった。
この工事の起工式は 1830 年 9 月 6 日に行われ、その際に Mozart による Te Deum in C-dur, KV 141 (66b) が演奏されている。
この建物は楽友協会が所有する初めての不動産となり、その 2 階には客席数が凡そ 700 の演奏会場が設けられたが、これは Wien に於いて演奏会のみを目的とする初の会場となった。これ以前の Wienに於ける演奏会は、それ以外の目的にも使用する多目的な大広間か、或いは Oper 等の公演を行う為の劇場に於いて行われていた。
この建物の落成式は翌 1831 年 11 月 4 日に執り行われ、この時は Johann Nepomuk Hummel (1778-1837) による Te Deum in D-dur (WoO 16, S 70) が、2 階の演奏会場に於いて演奏されている。これ以降 Wien の演奏者に限らず、Wien 以外から訪れた Orchester や名手達によるものも含め、数多くの演奏会がここで行われる事になり、Wien に於いて公に開かれる演奏会の最も重要な中心地となった。但し例外的に演奏者と聴衆の数の特別に多い演奏会についてはそれ迄と同様に、王宮内の Redoutensaal 大 Hall を会場として開催されている。
1837 年には楽友協会の創設 25 周年を記念して、1798 年に完成して同年初演の行われた、Joseph Haydn (1732-1809) による 4 作品中 3 作目の Oratorium „Die Schöpfung” (天地創造、Hob. XXI:2) が、1,000 人を超える演奏者によって 2 回、この協会創設の契機となった演奏会が 25 年前に行われた際と同じ、王宮内の冬季乗馬学校に於いて開催されている。
この先は次回
»Antonio Salieri Teil 50«
[Archiv / Kommentar 2023 Nr. 6]
へ続く
上部の写真:
Tuchlauben に落成した
楽友協会の建物
1831